柏崎・長岡(旧柏崎県)発、
歴史・文化・人物史
久々に、このシリーズを書く。 ただ題名を変える必要に迫られている。 柏崎発が、中越、否、越後に拡大されたのである。 その最大の理由は、明治以降の教育史を追いかけたことに始まる。 そのキーパーソンの一人が、羽石重雄、旧制柏崎中学の初代校長である。 羽石重雄、杉卯七、そして、その存在を顕した野村健堂の小論を読んだことに発端がある。 すなわち、『大塩平八郎と生田萬』だ。 大正時代に発行された雑誌に寄稿された小論である。 この三人は、ともに山口県出身、旧制山口高校が設立される前の山口高校で同級であったようだ。 三人が柏崎に集まるのは、杉卯七が、日本石油勤続25周年を、羽石重雄が、柏崎中学校長に就任したことを祝うために、黒頭巾こと野村健堂が誘って柏崎に会合したことであるようだ。 注目したいのは、羽石重雄と杉卯七である。先ず羽石重雄から見ていくと、先任地・山口県の旧制岩国中学から、2年間のブランクの後、柏崎中学校長に就任するのである。 その後、長岡中学、最後の任地、松本中学までは辿ることができる。 ところが、岩口中学校長に赴任するまでの経緯が不明なのだ。 現岩国高校に確認したところ、面白い話を聞いた。 岩国は吉川氏、すなわち毛利藩の支藩である。 質実剛健をモットーとした藩校の伝統を持つ。 柏崎の維新史にしばしば登場する近藤芳樹とも縁が深い。 その岩国中学で、羽石重雄は排斥運動にあっているのだ。 聞くところによれば、明治の典型的な紳士の服装、チョッキに納めた金鎖の金時計、そのハイカラな洋装が、質実剛健の校風に合わなかったのか。 最上級生の5年生が反発した。5名だったと云う。校長排斥運動が起り辞任するに至るのである。 傍線を引く必要がある。友人である杉卯七は、柏崎、日本石油の技術者として来柏する。 その経緯も複雑だが、卯七の父親は、奇兵隊に所属し、戊辰戦争を転戦している。 詳細は不明だが、柏崎・長岡あたりで戦ったことが推測される。 例からみれば、明治政府の高官になる事もできたはずだ。 ところが、隠棲し、趣味である釣りに出て行方不明になっているのだ。 その子息である卯七が柏崎に来るのである。 因みに、卯七の子息・捷夫(としお)は、日本フランス文学会の会長に就任するのだから面白い。 さて、羽石重雄に話を戻すと、岩国中学辞任後、柏崎を経て、長岡中学の校長に就任してるのである。 興味を持つのは、岩国中学との関係である。 実は、岩国中学から長岡中学に赴任するのは、羽石重雄だけではない。 夏目漱石の『野分』の主人公のモデルといわれる坂牧善辰の後任の校長が、岩国中学から赴任する橋本捨次郎なのである。 これを偶然の一致と見ることができるだろうか。 中島欣也著の『明治熱血教師伝』という本がある。 そこに描かれているのは、長岡と薩摩の校長人事の交流の経緯だ。 本富安四郎と坂牧善辰が主人公である。 「和同会事件」で、坂牧善辰が長岡中学を去ることになるのだが、この経緯を考えると、あることに想像の羽が伸びる。 漱石の『坊ちゃん』である。 坂牧善辰は、漱石の一級後輩だったようだが、当時のこと、浅からぬ親交があったはずだ。 漱石の書簡集に、それが見える。 そこで空想の輪を広げると、岩国中学の羽石重雄の金時計事件、それに坂牧善辰の「和同会事件」、これらを足して二で割れば、何かしら『坊ちゃん』の場面が思い浮かぶのである。 しかも、確認は取れていないのだが、羽石重雄の前任地は九州なのだ。 何ヶ月か前、卒業生である友人の紹介で長岡高校の和同会館を訪ねた。 事前に羽石重雄校長のことを問い合わせしていた。 資料館を見学した後、事務局に立ち寄り、その話をすると、事務の女性が問合せのことを記憶していた。 その為か、友人の存在の為か、歴代校長の写真を拝見することが出来た。 そこには、予想とは少々違うのだが、古武士然とした羽石校長の肖像があった。 人があり歴史がある。 感慨、沸々と湧く思い。 不条理のニュースばかりの世の中に、先人の眼光が目映く思えた。 Best regards
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無題
大変興味深く、読ませていただきました。
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岡村様
まさかのコメント、ありがとうございます。 柏崎通信は、非公開のMLで配信し、公開可能なものをブログに掲載しています。 宜しければ、MLの『柏崎通信』を配信します。 Best regards 梶谷恭巨 |
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プロフィール
年齢:
77
性別:
男性
誕生日:
1947/05/18
職業:
よろず相談家業
趣味:
歴史研究、読書
自己紹介:
柏崎マイコンクラブ顧問
河井継之助記念館友の会会員
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