柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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 物事を見るのに何でもかんでも図式化する習性がある。 図式化といっても、一種
のイメージの地図を作るのだ。 こうした方法との出会いは、高校時代に読んだ認知
心理学の一冊の本から始まっている。 そこでは、「意味空間」あるいは「意味地
図」と表現されていた。 それが、長い年月を経て、習慣化してしまった。 ただ、
この方法には良い面と悪い面がある。

 物事を俯瞰的に眺め、それをネットワークとして表現するのだから、問題点を発見
し、その解決策を検討するには、非常に有効な方法だ。 それに、図式化することに
よって、見えないものが見えてくる。 しかし、反面、視野が広がるだけに、問題の
焦点が絞り込めない。 「木を見て、森を見ず」ではなく、「森を見て、木を見ず、
故に、木の本質を知らず」とでも言うべき状況も出現するのだ。 どうも、これは私
自身の問題のみではなく、社会にも適用できることなのではないか。

 一昨日、柏崎祇園祭の最終日を飾る海上大花火大会が開催された。 開始直前にに
わか雨が降り、「ああ、昨年の二の舞か。 今年失敗すると大変なことになる」と思
いながらも、駐車場を探して、うろうろ。 結局イトーヨーカ堂の駐車場が穴場で、
そこから海に向かって、今度は場所探し。 雨を心配しながらも、何とか、場所を見
つけた。 さて、花火はどうかと言えば、始めは風も無く、煙が流れないので、どう
なることかと思っていたが、中盤の山場辺りから、花火の残光かと思えば、北極星。
 風も出てきて、花火には最適に近い状況になった。 フィナーレに近い東電の「超
ベスビアスワイドスターマイン・プラネットパラシュートダンス」辺りから、自然発
生的に拍手が起こり、「怒涛の尺玉300連発」、柏崎市民協賛のフィナーレでは、
子供たちまで踊りだす躁の状態。 まさに感動ものだった。 しかし、その後が問題
だ。 帰るタイミングを逃したため、帰宅まで何と2時間半、渋滞に巻き込まれて、
感動の反動は疲労に変わる。

 一日おいて、改めて「花火の感動」を振り返ると、「さて、あれだけの感動、宴の
後にすべきではない」との思いが湧く。 そこで、見回すと、あることに気付くので
ある。 「海上で行われる花火としては日本一」、「日本海に面する海浜公園は素晴
らしい」、「美術館・博物館街道といわれるくらい文化的資産が豊富」、「川には鮭
が遡上する」などなど、「日本石油の発生の地」、「世界最大の原子力発電基地」、
兎に角、文化的社会的経済的資源に恵まれている。 要するに、この柏崎という森に
は、大木が繁茂しているのだ。 一本一本の樹は素晴らしい。 ところが、下草や若
木は瀕死の状態。 森としての機能が失われているように思えるのだ。

 例えば、こんな事を考えた。 「海上大花火大会を日本一にするならば、海岸線の
整備をそれに合わせればよいのではないか」と。 「花火観覧を考慮して、防潮堤を
円形劇場的階段構造にすればよい。 構造的にも可能ではないか。」 考えれば様々
である。 しかし、出てくるのは負の事例ばかりなり。 さてさて、汝を如何せん。
 「私は、柏崎が好きなのだがね。」

 柏崎の歴史(学問の系譜)を地元紙に書き始めて、調べれば調べるほど、下草や若
木が育たない森で大樹が朽ちていく様が浮き彫りになってくる、言い換えれば、大樹
が育てば、森全体が繁栄する様がみえるのである。 藍澤南城は、安達清河が認める
ほどの詩才を、星野鵜水は、古賀洞庵が序文を書くほどの学才を持ちながら、栄達を
棄て、郷里に大樹を育てるべく、帰郷して子弟の教育に専念する。 そして、その結
果は、戊辰戦争で荒廃した柏崎の大地に大樹を育て、森を繁らせ、繁栄の花を咲かせ
るのである。

 それにしても今はどうであろう。 「木を見れば木のみ、森を見れば森のみ」、そ
の何れであれ、繁栄への道を失うのではないか。 すなわち、「木を見て森を見ず。
 森を見て木を見ず。 而して木も森も荒廃す」と思うのである。 もっとも、私自
身が、既にして、迷走しているのも事実だが。

Best regards
梶谷恭巨

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