柏崎・長岡(旧柏崎県)発、
歴史・文化・人物史
どう言う訳か、もし放送されれば見たいと思う番組を偶然見ることがある。 その一つが、NHKの「週刊ブックレビュー」だ。 しかも今日の特集は、『ローマ人の物語』、塩野七生氏だった。 シリーズが始まって15年、年一回の出版で、今回が最終巻、読者としての感慨がある。 この本が出版された時、それまでの女史の作品から、何かを予感していた。 その何かは、冒頭の「読者へ」の文中で明らかになる。 「知力では、ギリシャ人に劣り、体力では、ケルト(ガリア)やゲルマンの人々に劣り、技術力では、エトルリア人に劣り、経済力では、カルタゴ人に劣るのが、自分たちローマ人であると、少なくない史料が示すように、ローマ人自らが認めていた」と。 15年前、私自身一つの転機にあった。 才能は、人に及ばず、技術は全力を挙げても追随するのみ、年齢は不惑に達すれど、迷いは尽きず、体力には限界を感じていた。 そういう時期に、この本と出遭ったのである。 ギボンの『ローマ帝国衰亡史』やトインビーの『歴史の研究』にない近親感、中国の十八青史にはない躍動感、歴史小説とは異なる俯瞰性、そして何よりも、「今現在の自分に問いかける」何ものかが存在した。 巻を重ねるにつれ、その実態が姿を現す。 偶然だが、「週刊ブックレビュー」の初刊時のインタビュー、イタリア政府から勲章を受章したというその時のローマの自宅でのインタビュー、そして、今回のインタビュー、その言葉の端はしに、「ああ、この本は、歴史に残る名著になるだろう」という確信が生れる。 幾つかの語録を。 「何故、『ローマ人の物語』を書かれたのか」、「相手の事が全て解っていて、あなた、結婚しますか? ・・・」 書評など書ける才能もないが、先にも揚げた、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』は堅苦しくて退屈だし、トインビーの『歴史の研究』は膨大過ぎて、なお検証の為の繰り返しが多いから全巻(25巻)など読めるものではない。 社会思想社の『トインビー著作集』でさえ全8巻もある。 最近、ブローデルの『地中海』を試みたが、これも10巻の大著で、この年になると根気がもたない。 そこに来ると、『ローマ人の物語』は、堅苦しさもなければ、押し付けもない。 それどころか、(全巻がそうだとは言わないまでも)、一気呵成に読むことができる大著である。 機会があれば如何だろう。 『柏崎通信』430号(2007年1月22日)から転載 |
カウンター
プロフィール
年齢:
77
性別:
男性
誕生日:
1947/05/18
職業:
よろず相談家業
趣味:
歴史研究、読書
自己紹介:
柏崎マイコンクラブ顧問
河井継之助記念館友の会会員
最新記事
(10/14)
(10/14)
(10/14)
(10/14)
(10/14)
最新コメント
[04/17 梶谷恭巨]
[04/17 まつ]
[03/21 梶谷恭巨]
[11/18 古見酒]
[07/10 田邊]
カレンダー
フリーエリア
最新トラックバック
ブログ内検索
最古記事
(11/28)
(11/28)
(11/28)
(11/28)
(11/28) |