柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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 月曜日(6月25日)、河井継之助記念館友の会設立準備会の第三回目の会合があった。 場違いな感じがするが、これも何かの縁、今回も出席した。 主要なテーマは、第2条の目的と設立趣旨書の内容に関してである。 そこで、事前に、こうした記念館あるいは博物館などの支援組織の状況を調べてみた。 むしろ、書こうと思うのは、そのことである。

 準備会でも問題になったのが、「支援の範囲」である。 現在、行政改革の一環として、行政の軽量化が進展している。 記念館も、その対象になるようだ。 そうなると、「支援」は、運営にも繋がる。 運営を想定するのであれば、設立当初から、その事を反映した組織作りを行わなければならない。 こうした運営の民間移行の最初のケースが、「NPO・芦屋ミュージアム・マネージメント(AMM)」ではないだろうか。 ただ、ミュージアム・マネージメント学会という学会があるところを見ると、既に、形態の異なる、例えば、企業による運営管理は先行しているのかもしれない。

 少々回りくどい言い方になった。 日本では、参考になるケースが少なかったので、事例を海外に求めた。 私自身、昔から海外の博物館などの支援組織のメンバーになっていたことがあるので、ある程度の状況は解った積りであったのだが、ミュージアム・マネージメントという視点から考えたことがなかった。 ところが、「ミュージアム・マネージメント」という社名のコンサルタント会社が、米国・サンフランシスコにあるのだ。 米国内はもとより、広く海外の美術館や博物館のコンサルタントを勤めている。 最近の事例では、香港の美術館があった。 ホームページから知ることができる範囲は知れているが、コンセプトや基本的戦略については知ることができる。 一部を翻訳してみた。 粗訳だが以下の通り。 少々長いが転記する。

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戦略プランの要件

使命感(ミッション)
 使命感は次のことを明確にする:
(1) 存在の目的(存在意義)
(2) 誰のために在るのか(存在理由)
(3) 在る事による影響(インパクト)
使命感は、組織としての試金石であっリ、展示内容、施設計画や組織に関する重要な決定など、様々な意思決定の全てのガイドラインになるものである。

中心的価値観(コア・ヴァリュー)
 中心的価値観は、組織を動かすための信念にある。 中心的価値観は、日常の運営において最も重要であるものに焦点が置かれていなければならない。

展望(ビジョン)
 ビジョンは、将来、組織が如何にあるべきかを明確にする。 すなわち、野心の表明である。

目標(ゴール)
 ゴールは、「何を達成したいのか」という問いに対する答えである。 役員およびスタッフによって確認されたキーとなる領域に特定された幅広い表明として書かれなければならない。 例えば、継続的運用・維持管理のための財政戦略のような財務に関連した目標など。

l背景(コンテキスト): 背景には、各目標に対する現状評価が明示されなければならない。 背景は、「何故、目標が戦略プラン含まれているのか」と言う理由に対する大枠(フレームワーク)を明確にする。
l目的: 目的は、目標(ゴール)をサポートし、「目的が如何に達成されるか」を明らかにする。 例えば、「年間運営予算の33%をカバーするために、寄付金の額を増加させる」などの目標に関する目的など。
 O実施義務(アカウンタビリティ): 各員に目標達成を監督する義務を課す。
 O時間枠(タイムフレーム): 目標達成の期限を徹底する。
 O資源(リソース) : 表明した目標達成に必要な人員(ボランティアおよび専門家)と資金の必要性を徹底する。
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 とまあ、こんな具合だ。 当然、ノウハウなどは公開されない。 ただ、この内容を管見すると、何だかカルト的組織化戦略を思い浮かべる。

 そこで、最近まで最下位のレベルのメンバーだったNYの「メトロポリタン美術館」の事例を見よう。 ここでは、運営と支援が明確に分離されている。 運営は、まさに企業だ。 特典付き生命保険の販売までしているのだ。 一方、支援組織は、格差の世界だ。 最下位のメンバーシップは、$50から始まる(会報と四季報が配布されるのみ)。 そこから、実に、$2万まで、およそ12のランクがある。 そして、運営には一切関知しないのが原則。 云いかえれば、「金は出すが、口は出さない」と言うことなのである。 更に、この他に、2つのソサエティがある。 メトロポリタンの歴史は、一人のコレクタの絵画コレクションの寄贈に始まる。 最初は、セントラルパークに近い民家の改造だったようだが、当初から独立を意識し運営されたそうだ。

 「河井継之助記念館友の会」設立準備会の話が、あらぬ方向に向かったようだ。 ただ、将来、運営が民間へ委託されるのであれば、運営か支援かを意識しておく必要があるのではないか。 館長の稲川先生が、こんな事を言われた。 「民間に委託されるのなら、出来ることなら地元の業者である方がよい」と。 無縁の組織に運営されたのでは、継之助も浮かばれないのかもしれない。 あるいは、先見性のあった継之助のこと、全く別の見方をするのであろうか。

 余談だが、昨年の11月オープン以来、現在までの来館者数は、およそ9000人、しかも、リピータが多く、更に県外の人がほとんどだったそうだ。 中には、寄付の申し出をされる人も多々あり、記念館としては、それだけに、受け皿としての友の会の設立を急いでいるとのこと。 第一回の総会は、新暦だが継之助の命日に当たる8月17日に階差の予定、旧暦の命日には、第一回目の記念講演として、司馬遼太郎記念館の館長の講演を予定。 聞くところによれば、司馬遼太郎氏の意向(遺志)でもあったようだ。

Best regards


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