柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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 春の嵐である。 気温も相当に低い。 夕食の時、女房殿の故郷である上越市吉川町の話が出た。 裏のハウスの青菜が成長してトウが立ちそうだと義母がいい、家では使いきれないから吉川町に持っていこうかと云うのである。 吉川町でも、山の尾根に近い若井の家辺りは、この時期でも1mを越える雪が残っているそうだ。 何度か行ったことがあるが、それも肯ける。 頚城平野が一望に望めるほどの高地にある猫の額ほどの平地に、家々が身を寄せ合うようにあるような場所だ。 女房殿が、高校の時、一家を挙げて柏崎に下りてくるのも道理である。 ここ数年は雪も少なかったが、どうも今年は様相が違うようだ。 矢張り異常気象の所為であろうか。

 朝のニュースで、諸物価の高騰を採り上げていた。 特に小麦の高騰が目を引いた。 オーストラリアでは、小麦農家の5%が、廃業に追い込まれているそうだ。 水の確保が難しく、農地は干上がり、砂漠化が進んでいる。 インタビューに答えた農民は、ここ6年は、満足な収穫がほとんどないと嘆いていた。 矢張り異常気象の影響なのか。

 思い出すのは、オーストラリアで米作を試みた日本人のことである。 高須賀穣という。 1906年のことだ。 随分昔になるが、TVの特集で見たことがある。 単に日本人的発想から水稲を試みたのではない。 荒涼たる荒地を見て、水稲以外にありえないと感じたと云う。 試みは、灌漑から始まったそうだ。 水不足ばかりではない。 時として洪水も起こるのである。 初めて収穫を得たのは、数年後、豊作になるのは、更に10余年の歳月を要した。

 確かに水稲は効率的な農業とはいえないかもしれない。 換金作物を大規模に栽培すれば、ハイリターンが期待できる。 しかし、そこに潜むのはハイリスクでもある。 オーストラリアは、遺伝子操作による作物の改良を禁止してきた。 それが、解禁になった。 灌漑に強い小麦の遺伝子操作による品種改善が進められているそうだ。 一方で、環境問題を唱えながら、一方では、環境にやさしい農業が、人間の欲で廃れていく。 何たる矛盾か。 人間社会にもそれが言える。 今日から後期高齢者医療制度が変わるそうだ。 一部を除けば、高齢者は追い詰められる。 グラミー賞を受賞したペルーの黒人女性歌手、スサナ・バカがいった。 「アフリカでは、老人のことを歩く図書館という」と。 先人の叡智を省みなければ、国は滅び、自然は人間に逆襲する。 吹きすさぶ春の嵐に、何かしら不安を覚える。

Best regards
梶谷恭巨


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