柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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 先回上げた「お雇い外国人」の内、英国人(スコットランドおよびアイルランドを含む)について紹介したい。 今回は、日本の技術教育に貢献し、また帰国後、スコットランドの教育界の重鎮となった「ヘンリー・ダイアー」について、紹介する。 尚、下記の文は、Wikipediaの英国版などから訳出したものである。
 
ダイアー(あるいは、ダイヤー、Henry Dyer):
 工部大学校教頭、俸給660ドル。 1848/08/15-1918 スコットランドの技術者で、日本の技術教育と日英関係に貢献した。
○来日以前
 北ラナークシャー(North Lanarkshire、西スコットランド)のボズウェル(Bothwell)教区ミュアマドキン(Muirmadkin、現Bellshill)に生まれ、1865年頃、家族と共にグラスゴーに転居、クランストンヒル(Cranstonhill)のジェームス・アトキン社に就職、トーマス・ケネディとA. C. カークの下で見習徒弟として 務めると共に、アンダーソン・カレッジ(後のストラスクライド大学、Strathclyde)で学んだ。 同学には、伊藤博文、井上馨らと留学生した山尾庸三が居た。 その後(1868)、より高度の実務や理論を学ぶため、ダイアーは、グラスゴー大学に進学し、ウィットワース奨学金を受けた最初のスコットランド人になった。 1873年、工学部からBScの学位を授与された。 近代工学の先駆者である。
○日本時代(1873-1882)
 ダイアーは、1872年、弱冠25歳で、指導教官・ウィリアム・ジョン・ランキン(William John Rankine)教授のにより、当時、英国に滞在して遣欧岩倉使節団の伊藤博文に推薦され、工部大学校(ICE、Inperial College of Engineering)の教頭(実質的校長)および教授に就任した。
 1882年、離日に際し、名誉校長の称号および勲三等旭日賞を授与された。
○スコットランド時代(1882-1918)
 帰国後(1886)、グラスゴー&ウェスト・オフスコットランド技術大学および農業大学(旧アンダーソン・カレッジ、現ストラスクライド大学)の終身学長に就任。 1891年、グラスゴー・スコットランド教育委員会の委員に、1914年から没年まで、その委員長を務めた。
 また、ダイアーは、スコットランドに親日ロビーの代表として、日本学生や技術者らを援助し、日本政府の非公式の連絡役として働き、1901年には、日本人のグラスゴー大学への入学が許可された。 また、同じ年、東京大学の桜井および飯島教授は、グラスゴー大学の名誉学位を授与された。
 現在、ストラスクライド大学に、ヘンリー・ダイアー館があり、海軍の建設部および海兵隊のエンジニアリング部の本部として使用されている。
 
 長州から密航し、英国で学んだ所謂「長州五傑」、伊藤博文、井上馨、井上勝、遠藤謹助、それに山尾庸三らは、皆、ロンドンで学んだと思っていたが、山尾庸三が、スコットランドで学んでいたのは意外だった。
 
 記憶が定かではないが、以前、NHKの「我が心の旅」という番組で、さだまさしが、初めて親に買ってもらったバイオリンが、どういう訳か、グラスゴーの造船所の技術者の製作したもので、その人物を探すためスコットランド一円、特にグラスゴーを訪ね、最後に、その人物の意外な足跡を知るというのがあった。 また、草創期の八幡製鉄に来日していた英国人も実際には、スコットランドのグラスゴーの出身者だったとか、逆に、八幡製鉄から研修に行った先がグラスゴーだったという似たような番組を見たことがある。 そういえば、グラバーも、またスコットランドの出身だ。 それに、シャーロック・ホームズのモデルといわれるベル教授も、エディンバラ大学医学部の教授だった。
 
 意識しているわけでもないのに、スコットランドとかアイルランドなどのゲールあるいはケルト民族に親しみを感じるのはなぜだろう。 明治時代、ケルトのことが、どれほど日本に伝えられていたか不明だが、意外に早い時期に、伝わっていたのかもしれない。 例えば、ケルトの代表的な叙事詩『オシアン』は、日本的無常観と相通じるものがあると云われる。 丁度、『平家物語』のような。
 
 話を元に戻すと、タイアーのように、帰国後、イングランドに比べ後進地であった故郷スコットランドの発展に寄与すると共に、青春時代をすごした日本に、変わることのない情感を抱き、日英関係の向上に努めたお雇い外国人が居た事に、何かしら救いを感じるのである。
 
Best regards
梶谷恭巨

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