柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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承前。

「雑事」(13)

物見遊山の席順 旧女郎屋(吉原系)の好婦は、襠衣(ウチカケ)を用いる事ができ
たけれど、他には之を禁じ、又祇園詣、其他物見遊山の際には、他婦は必ず下座しな
ければならぬ事になって居って、芝居相撲の際には、如何程金を出しても桟敷に上る
事は許されなかったそうだ。

(註1)吉原系: 本文中、先に記載があったが、詳細は判らない。また、この項が
何時ごろの事を述べているのかも不明である。ただ、『花街風俗』などを見ると、
社会の裏面であるが故に、格式や掟が厳しかったことが窺える。

妓女の祝い着 昔花街で用いた四季の晴れ着と云うのは、正月、祭り(三月)祇園
(七月)恵比寿講(十月)の四度であったという。

弘化安政の相場 は左の通りであった。

 女郎屋………妓婦六百文、酒肴三百文

 遊行茶屋……妓婦四百文

 旅籠屋………一泊百十文より百八十文

 但し慶応頃よりは妓婦の相場はニ朱と百文となったそうだ。

酒肴の献立 妓婦は翌日まで客の傍を去らず、又三百文にて、酒は飲み放題で肴は大
なるを用い、大平、吸物、広蓋等に山海の珍味を盛って出すのであるが、客は夫(ソ
レ)には箸を着けぬのを以て粋として居ったのである。

目録調製 妓女の代も酒肴料も定まって居ったから妓楼でも、別に目録は作らなかっ
たが、文久、元治の頃から、始めて目録を作り、酒肴を売るに至った。是れは一方に
両換等の関係もあったから必要に責められた為めであろう。

淫売宿 と貸座敷とは無関係のものであるが、兎に角、参考迄に記して置く。柏崎
元地色三朱と云う淫売婦があったが、何(ド)うして三朱と言ったかと云うに十八銭
七厘五毛(一朱が即ち六銭二厘五毛)で密かに淫を売った為めに此名を附けたのであ
る。最も淫売の盛んなのは明治五六年の頃であって旭小路、君小路、寺門前等には魔
窟が沢山あったそうである。当時の俚謡に

   あさひ小路は箒が入らぬ

        いらぬ筈だよ裾ではく

とあるを見ても如何に盛んなりしかを察せられる。

(註2)旭小路: 西本1丁目10番と同2丁目1番の間にある小路。『ソフィア
だより』43号(市立図書館、平成12年1月4日刊)。因みに、後に出る「広小
路」とは、並行している。

(註3)君小路: 不詳。

(註4)寺門前: 不詳

 *尚、柏崎の小路につては、先に揚げた市立図書館の『ソフィアだより』に詳し
い。それら小路をまとめたURLは下記の通り。

 http://lib.city.kashiwazaki.niigata.jp/siraberu/kouji.html

情死 由来柏崎の青楼では情死と言う事を余り聞かない。最も天保の頃、遊女玉菊な
るものと桜井某と西光寺畔の鐘ヶ淵に身を投げて情死したが、其後広小路の仏壇屋某
と港屋のみなとと云う遊女と浅からぬ中となり遂に情死を企て、先ず女を殺して後自
分の喉に突き立てたが、手元狂いて死に切れず、治療を受けた後、獄に投ぜられたと
云う。又此以前にでもあったが事か、某と某妓とが二階に縊死を遂げた、其歌の齣
(句)に曰く

   登る梯子が剣の山よ、渡る敷居が三津の川よ

(註5)広小路: 上越に向かって、国道8号線を鵜川の手前で右折し、跨線橋を越
えた現在の新橋5丁目辺り。

火薬自殺 柏崎の遊郭で情死も少ないが、又自殺も少ない。四十四年六月の四日、越
路楼で比角(ヒスミ)村の藤田と云う者がダイナマイトで自殺を遂げたが、斯くの如
き事は殆どない事である。

 内容については、特に注釈を付けない。ただ、年月日が判る「火薬自殺」だが、柏
崎の年表を調べて見ると、ダイナマイトによる自殺なのだから、さぞや大事件と思い
きや、記載がないのである。しかし、この年は、火災の大方年の様で、しかも扇
郭周辺で多く発生していることから、県令により、遊郭を新花に移転するよう通達
されたようだ。特に、11月13日夜、新桐油屋より出火した火事は、家消失
660戸、寺消失13寺であった。また、記憶が確かであれば、この年、新潟でも大
火があった。余談だが、この年の5月20日、勝田加一を中心に『越後タイムス』が
創刊された。

 尚、今回で、「雑事」が終り、次回より、「歌舞の師匠」に入る。

Best regards

梶谷恭巨

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