柏崎・長岡(旧柏崎県)発、 歴史・文化・人物史
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 さて、色々考えたのだが、先回紹介した『柏崎百年』に掲載された事実などを基に、『柏崎華街志』に掲載された広告の調査も兼ねて、その過程で知った事実などを紹介する『柏崎余話なるものを徒然に紹介したいと思う。

 

 先ず、前回の続きとして、『柏崎百年』の第一期「郷土の夜明け」から「教育の門を開く」の冒頭を引用から始めよう。以下、原文。

 

 「明治二年二月、陣屋旧邸に始めて学校を開き、柏崎町を始め村落より生徒を募集す」とある。これによると、当初の職員は、次の通り

 

 教師 原理左衛門

 助教 西巻喜仙二(平井村人)

 主附(学校取調方主附)兼助教 山田波之助

 (大正四、一〇、九、柏崎日報)

 

 また原文の引用を続ける。

 

 鯨波の戦がすんで十ヶ月め、まだ官軍の民泊がつづき、物価暴騰、流通しはじめた太政官札が正金百両につき札百二十五両となったり、百二十両適用となるなどの値下げ布令がでたり「そのため町民に浮沈あり」デマがとぶ。所持混乱のさなかに、始めて耳にする「学校」というものが開校された。原理左衛門は「たんぼの先生」の二代目の修斎のことで、この時、六十四才、門弟には山田霜筠、松村文次郎文次郎、西巻永一郎、中村篤之助等があった。何れも柏崎の進運をひらいた秀才で、百年史の初頭に活躍している。

 

(註1)明治二年二月: 1869年、この年の15日には横井小楠が暗殺され、この月には、造幣局が設置され、蝦夷地では榎本武揚が、蝦夷島総裁として、プロシャ人ゲルトネルに凾館に近い七重村を99ヵ年貸与している(ガルトネル開墾条約事件)。

(註2)陣屋旧邸: 桑名藩大久保陣屋の構内。

(註3)原理左衛門: 後に在るように「原修斎」の事のようだが、理左衛門という通称は、この資料で始めて見た。

(註4)西巻喜仙二: 平井村の庄屋・西巻家の関係か、ただ、喜仙二と「二」の字が付く処から察すると、分家なのかもしれない。

(註5)山田波之助: 後に出る「山田霜筠(そうきん)別人であろう山田霜筠山田八十八郎事。

(註6)山田霜筠: 山田八十八郎、「霜筠」は号。明治初年の新潟県第五大区長。

(註7)松村文次郎: 初代・新潟県県会議長、衆議院議員、越後の自由党の立役者、第二代衆議院議長となる星亨らと共に自由党結成。原修斎の門弟とあるが、一般的に知られているのは、「松村操」、号を「春風」であるところから、「操」が諱で、「文次郎」が通称であったのだろうか。

(註8)西巻永一郎: 山田第五大区長の当時、西巻永一郎は、第五大区副長で第五小区及び第六小区担当をしている。また『新潟県地価持名鑑』に名前を連ねて居る事からも、柏崎町の富豪の一人であったと窺える。

(註9)中村篤之助: 詳細は不明だが、『中村篤之助公用録』が、『柏崎史料叢書』に残って居る。

 

 とまあ、こんな具合で、笹川氏が『柏崎百年』を書かれた当時は、(註)の如き事項は周知の事実だったのかも知れないが、今や簡単な注釈では、相互関係など全く判らない状況である。しかし、前回も述べたように、柏崎が北越戦争における橋頭堡(戦略的重要地)であった事が窺える。官軍は、明治新政府を成功させるためにも、柏崎を一種のモデルと考えていたのではないだろうか。また、柏崎は、戊辰戦争の戦災地にはならなかった。この事は、多くの史料が現存する事を意味する。先に揚げた『柏崎史料叢書』などは、戊辰戦争を研究する上で重要な史料ではないかと思うのだが、こうした史料こそデジタル化を急ぐべきではないのだろうか。

 

 ところで、今回の「教育の門を開く」から、三余堂あるいは藍沢南城に関わる記述がないことが判る。南城自身は、維新前の万延元年(1860に母子いているから直接のかかわりはないと思われるが、何かしら郷方と町方、即ち桑名藩と官軍の対立関係を窺わせる。

 

 ただ、ここでは紹介できなかったが、「文筆開化」の節を見ると、明治五年に、『随聞雑誌』というものが発刊されているそうだ。この『随聞雑誌』は、従来、雑誌の嚆矢と云われた『明六雑誌』の一年前に発刊されているのだから、日本で最初の雑誌と云う事になるそうだ。次回は、この辺りの事を紹介したい。

 

Best regards

 


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